今回は、手書きの要素がもたらす温かみと人間味について考察したいと思います。
デジタルテクノロジーによる機械的な感触とは対照的になり、広告についても同様のことが言えるようです。以下に、手書きによる表現がもたらす温かみと人間味のいくつかの要素を挙げてみましょう。
手書きがもたらす温かみと人間らしさの要素
1.個性と独自性
手書きの文字やイラストには、作者の個性や独自性が反映されます。独自の筆致や線の揺れ、文字のまとまりなどが、作品に作者の感性や思いを表現しています。これにより、冷たい機械的な感覚ではなく、個々の人間らしさが感じられます。
2.手仕事の温もり
手書きは手仕事の一環であり、そのプロセスが表現物に温もりをもたらします。文字や絵を手で描くことで、作者の手の動きや圧力、速さなどが表現され、これが見る者に自然な感触を与えます。
3.感情の表現
手書きの文字や絵は、作者の感情をリアルに伝える手段となります。ペンや筆の使い方、線の太さや細かさ、色の塗り方などが感情を表現するのに役立ちます。これにより、作品が生き生きとし、感情が伝わりやすくなります。
4.誤りと訂正の証拠
手書きには完璧さがなく、時には誤りや訂正が見られることがあります。これが逆に、作品が機械的でなく、人間らしいものであることを示します。誤りや修正があるからこそ、作品には作者の真摯さや努力が感じられます。
5.手紙やメモの手触り
手書きの手紙やメモは、文字だけでなく紙の手触りも含めて温かみを感じさせます。手に触れることで、作者との間に距離感や親近感が生まれ、デジタルコミュニケーションとは異なる独自の魅力があります。
広告チラシ、販促POPの手書きによる温もりを考える
まず、手書きには不均一性と独自性、時間と手間の投入があげられます。
デジタル制作は、均一性のあるPOP文字、変更が容易という点があり、手書き、デジタル双方にその良さはあります。
しかし、宣伝、販売促進という広告手段を題材とすると、論点は、それを見た人がどう感じ?どう印象に残るか?を考えなければなりません。
昨今、デジタルが主流であり、大量制作、複製も容易に可能な時代です。
そのような中で、手書き広告、販促POPは少数派となります。それもかなり際立った少数派であると考えられます。
いまや慣習に反した少数派、それがブルーオーシャンとなり、逆に目立つのではないかと考えることもできます。
ここで、参考として、お店の販促POPで「惹かれるはどっち?」というアンケート調査を行った事例がありますのでご紹介します。
お店の販促POPで「惹かれるはどっち?」
「販促POPは手書きかデジタルかに関するアンケート」調査概要
※引用元「日本トレンドリサーチとスプリックによる調査」
調査期間:2023年10月26日 ~ 10月30日
調査機関:日本トレンドリサーチ(自社調査)
調査対象:全国の男女
有効回答数:1280サンプル
調査方法:インターネット調査
・「日本トレンドリサーチ」の該当記事(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000978.000044800.html)
・スプリック(https://spriq.jp/)
その結果は…。なんと78%の方が手書きに惹かれるという調査となりました。
その代表的理由としては下記のようなご意見が上がっています。
「手書き」の販促POPに惹かれる、その理由は?
- 販売員の気持ちがこもっている感じがすることが多いので。(50代・男性)
- オリジナリティをかんじるから(20代・女性)
- アットホーム感や親近感が湧くから。(30代・女性)
- 固定性を感じます。デジタルだとすぐに修正されるので。(60代・男性)
- お店の努力が感じられるし、個性や味を感じられるから(50代・男性)
一方、デジタル派の方の理由も見てみましょう。
「デジタル」の販促POPに惹かれる、その理由は?
- いろいろアレンジしやすいから(40代・男性)
- 明るく鮮明な画像に仕上がる。(60代・女性)
- 見た目がきれいだから(50代・男性)
- 手書きは個性が出過ぎる。デジタルがわかりやすい。(40代・男性)
総評として、惹かれる確率は、手書きの圧勝。
各々の理由に関しては、手書きは「温かみ、人間味が伝わる。」デジタルは「見た目がきれい。分かりやすい」の理由でした。
その結果を踏まえてなのか、元々そうであるという感性がそうさせているのか、チラシポスティング業界におきましても、手書きチラシが増えてきています。
制作側分野におきましても、手書き専門でデザインします。という個人、フリーランスのクリエイターさんも存在します。
制作側にも得られる、クリエイターとしての満足感
元々、デジタルでデザインする事が主体だった方も、広告主側からの要望、他者クリエイターとの差別化を試行錯誤し、ニッチでブルーオーシャンの手書きチラシを商品販売化、ビジネスチャンスとして着眼されています。
試行錯誤の上、原点に戻ってきたという認識となります。
本来、美術、イラスト、似顔絵が得意であり、そのスキルも持ち合わせたクリエイターにしかできないことを考えますと、やりたかったことができる。というクリエイターとしての満足感もあるようです。
多くの人に愛される「手書き」特有の温かみ
手書きによる表現は、技術の進化によりデジタルが主流になっていますが、その特有の温かみや人間味は未だに多くの人に愛されています。
宣伝チラシ、販促品に手書き制作を試みて販売促進に活かしてみてはいかがでしょうか。